第20回外伝「合唱部&演劇部始動!」

仁科
「仁科りえと……」
杉坂
「杉坂ッ」
原田
「原田」
三人
「合唱部っ!」
「ふ、古河渚と……」
朋也
「岡崎」
春原
「春原」
「藤林杏っ」
「藤林椋と……」
ことみ
「…………一ノ瀬ことみ、なの」
六人
「演劇部っ!」
全員
「ふたつ合わせて……」
全員
「がええがっえしょんんしょしょげげうきえがっえしょんうぶぶきーぶーっ唱部ーっ劇部っ! …………演劇合唱部ー」
三人
「って合ってねぇぇーーーっ!」
「見事にバラバラね」
仁科
「ごめんなさい。私、出遅れました」
「わたしも噛んでしまいました。緊張してしまって……」
「わ、私も……」
ことみ
「なんでやねん」
朋也
「……ツッコミがしたいのはわかるが、タイミングが遅すぎるぞ」
「ツッコミ以前に、あんたはセリフもひとりだけ遅すぎよっ、ことみ」
ことみ
「とってもむずかしいの」
杉坂
「最後の『合ってねえ』ってセリフは合ってるんだけどね。さすがは名コンビ」
春原
「それって漫才コンビみたいですよねぇ……。つーかおまえも合ってただろっ!」
杉坂
「う……」
朋也
「嫌なところで息ピッタリだな」
杉坂
「そ、そんなことよりっ、言ってるセリフが違ったら合うわけないでしょ!」
春原
「演劇合唱部だろ。別に間違ってないじゃん」
杉坂
「何言ってんの! 合唱演劇部なの!」
春原
「そんなの別にどっちだっていいだろ。細かいこと言うなよっ」
仁科
「そうだよ。演劇部も合唱部も今日から一緒に活動できるんだから。私は嬉しいな」
「そうです。合唱部も演劇部も一緒です。だんご大家族です」
杉坂
「う、うん、わかった。それに関しては私も嬉しいから。私、何をムキになってたんだろ……。よーしっ、頑張るぞー!」
春原
「そもそもさ、なんで僕たち集まってんの?」
杉坂
「それはね……今回は、合唱部と演劇部の活動開始記念パーティーなんですよっ!」
「そうだったんですか?」
ことみ
「お弁当を持ってきて正解だったの」
杉坂
「決して多人数でのやり取りの掛け合い練習というわけではないよ」
仁科
「誰に話しかけてるの?」
杉坂
「それではっ、いろいろありましたが合唱部と演劇部、両部とも無事活動開始というわけでっ」
全員
「かんぱーーいっ!」
春原
「ぷはーっ」
「ん? 陽平、あんた……」
「春原さん、それ、ジュース……ですか……?」
春原
「そうだよ」
朋也
「おまえ、わざわざ持ってきたのか……」
春原
「まぁねっ」
「それ、きっと、いけないことです」
春原
「大丈夫、大丈夫。慣れてるから」
「そういう問題じゃないですっ」
「渚ちゃんの言うとおりです。そういうことはやめたほうがいいです」
「陽平」
朋也
「春原」
春原
「う……わかったよっ。岡崎には言われたくないけど」
「岡崎さんもですかっ」
朋也
「いや、してないしてない」
ことみ
「お弁当も持ってきたからみんなにも食べてほしいの」
仁科
「わぁ、すごいですね」
杉坂
「ぜんぶ自分で作ったんですか?」
ことみ
「うんっ。少し作りすぎちゃったけど、この人数なら大丈夫なの」

       ~~なごみ空間~~

杉坂
「ごちそうさまっ! ふうっ、食った食った」
仁科
「すーちゃん、行儀悪いよ」
春原
「もう食えねぇっ」
朋也
「頑張れ、春原っ。あと重箱ひとつだっ!」
春原
「お、おう。……っておまえも手伝えよっ!」
朋也
「俺は小食だから無理だ」
春原
「僕だってそんなに食う方じゃねえよ。つーか杏も手伝えよっ!」
「なんであたしに言うのよ」
春原
「一番食いそうだから……ぶはーーっ!」
「失礼ねっ」
仁科
「さて、漫才をしていたらキリがないのでそろそろ進行しましょう」
杉坂
「おおっ、さっすがりえちゃん! まとめ役は任せたっ!」
朋也
「渚、おまえも部長なんだから、しっかりとまとめてくれよ」
「は、はははいっ!」
「渚ちゃん、頑張って」
ことみ
「ファイトファイト、なの」
春原
「渚ちゃんの頼みだったら、僕、なんでも聞いちゃうよっ」
「あたしたちがばっちりサポートするから、安心してっ!」
「みなさん……ありがとうございます。至らない部長ですが、せいいっぱいがんばりますっ」
仁科
「一緒にがんばりましょう。古河先輩っ」
「はいっ! よろしくお願いします、仁科さん」
仁科
「それではっ、創立者さ……じゃなくて学園祭での成功を目指して、みなさんがんばりましょう!」
「はいっ、一緒にがんばりましょう!」
全員
「おーーっ!」
ことみ
「オチがないの……」
杉坂
「今回はみんなで一致団結したことだしっ、オチなしで!」
ことみ
「新しいネタを仕入れてきたのに……残念なの……」
「あんたの新しいはアテにならないからねぇ」
ことみ
「そんなことはないの。お茶の間は木っ端微塵なの」
朋也
「……それ、ウケてるのか?」
杉坂
「そんじゃあオチをお願いするとしますかっ。ことみちゃん先輩っ、どうぞ!」
ことみ
「任せられました、なの」
ことみ
「…………」
ことみ
「名付けて」
ことみ
「ローテーション」
ことみ
「トーク」
ことみ
「なの」
全員
「…………」
「くるくる回ってるとこ悪いけど……」
春原
「それってさ……」
朋也
「ひとりでするもんじゃないからな」
ことみ
「……すごいのっ、三人とも息ぴったりなの」
「だったら、わたしたちも三人でしてみましょうっ」
「私も協力します」
ことみ
「ありがとうっ、渚ちゃん、椋ちゃん。それじゃあ……名付けてっ」
「ローテーション……」
「トーク……」
ことみ
「なのっ」
三人
「……びしっ」
全員
「…………」
ことみ
「ばっちり決まったの……うっとり」
杉坂
「それはいいんですけど、これでどうやってオチをつけるんですか?」
ことみ
「…………」
仁科
「? どうしました?」
ことみ
「あんたとはやっとられませんわー、ほなさいなら」
仁科
「わっ、何?」
朋也
「ことみ、なかなか成長したな……」
原田
「はぁ……。結局、最初の一言しかまともなセリフなかったな……」
ことみ
「実は、お茶の間もびっくりの二段オチだったの」
原田
「わたしをオチに使うのやめてくれません?」