第5回外伝「仁科りえ作戦会議」

杉坂
「これよりアニメCLANNAD『第247回仁科りえ作戦会議』を行う。議題はただひとつ……」
仁科
「…………」
杉坂
「これこれ、ツッコんでくださいよ」
仁科
「……え? 私?」
杉坂
「りえちゃんしかいないでしょ」
仁科
「あんまり聞いてなかったよ」
杉坂
「しょうがないなぁ。じゃあもう一回。これより第247回仁科りえ作戦会議を行う。議題はただひとつ……」
風子
「異議あり!」
仁科
「わあっ」
杉坂
「何!?」
風子
「……なんとなくですが」
仁科
「風子さん……」
杉坂
「なんでいるの!?」
風子
「風子、なんでここにいるのかわかりません」
杉坂
「いきなり異議あり! とか言ってたじゃない。このタイミングで言うもんじゃないと思うけど」
風子
「言ってみたかっただけです」
仁科
「人数はたくさんいたほうが楽しいからいいと思うよ」
杉坂
「ま、そだね。じゃ、仕切り直して……これより第247回仁科りえ作戦会議を行う。議題はただひとつ……」
風子
「異議あり!」
杉坂
「りえちゃんにツッコんでほしかったけど、まぁいいや。それじゃ風子ちゃん!」
風子
「風子、喉が渇きました」
杉坂
「あ、あのねぇ……」
仁科
「それじゃあ、お茶いれてくるね」
仁科
「おまたせー」
風子
「ありがとうございます」
杉坂
「ありがと、りえちゃん。……しかし話が進まないな~」
仁科
「すーちゃんが中途半端にボケるからじゃないかな」
杉坂
「わかってるならツッコんで進めてよ! 放置プレイですかっ」
仁科
「風子さん、お茶熱くない?」
風子
「少し熱いですけど大丈夫です。ふうーってして飲みます。ふうー」
仁科
「かわいいなー」
杉坂
「くそー、うらやましい。その上、スルーされた~」
仁科
「そんなに落ち込まないで。作戦会議、だったよね? はじめましょう」
杉坂
「よしっ! んじゃ、議題はただひとつ……私たち合唱部のキャラデザインがオフィシャルコミックと違うことについて!」
仁科
「まだはっきり私たちと決まったわけじゃないから時機尚早じゃないかな」
杉坂
「そりゃ、あの場面ではふたりしかいなかったし。私と原田っちだと考えれば、りえちゃんはオフィシャルコミック準拠で可愛すぎ! んーらぶり~、となるわけだが」
仁科
「そういえば原田さんは?」
杉坂
「欠席。三井さんがメガネっ娘属性になったからますます影が薄くなる、っていじけてた」
風子
「おねぇちゃんの結婚式、三井さんにも祝ってもらいたいです」
仁科
「大丈夫だよ。風子さんの思い、いつかきっと伝わるから……」
杉坂
「手裏剣も受け取ってくれるって」
風子
「手裏剣じゃないです。ヒトデです」
杉坂
「じゃあ真ん中を取ってヒトデ手裏剣ってことで」
風子
「失礼です」
仁科
「うーん、やっぱり情報が少なすぎて会議にならないよ」
杉坂
「まあ、もしデザインが違ってもそれはそれでおもしろいけどね」
仁科
「どういうこと?」
杉坂
「例えば……あ、妄想シーンに入りますんで」
仁科
「誰に話しかけてるの?」
風子
「ヘンな人ですっ」

~もしも仁科・杉坂コンビのデザインが違ったら~

風子
「………… ( ≡ヮ≡)」
杉坂
「例によって風子ちゃんがトリップしたわ! 今がチャンスよ、りえちゃん!」
仁科
「……え? 何?」
杉坂
「チャンスよチャンス。今こそオフィシャルコミック仁科・杉坂コンビからTVアニメ仁科・杉坂コンビへと変身の時!」
仁科
「変身!?」
杉坂
「ぴんぷるぱんぷるろりぽっぷん。まじかるまじかるるんらら~。そーれ、にゃうーん! まじかる杉坂だYO~」
仁科
「…………」
杉坂
「うわ、そんな冷たい目で見ないでっ」
仁科
「コスプレ?」
杉坂
「魔法だよっ! 衣装以外も変わってるでしょ。さ、りえちゃんもっ」
仁科
「……え? えええええっ!? ……私も?」
杉坂
「そうしないと話が進まないからっ」
仁科
「は、恥ずかしいよー」
杉坂
「普段ウェイトレスでもっと露出多いカッコしてるでしょっ」
仁科
「あ、あれは……仕事だから別に恥ずかしくないもん」
杉坂
「いいからっ。早くしないと風子ちゃん気がついちゃうよっ」
仁科
「わ、わかったよ……。じゃあ着替えてくるね」
杉坂
「着替え違うから! 魔法で一発変換されるからっ!」
仁科
「でも変身シーンとかあったら恥ずかしいから」
杉坂
「…… (ちぃっ)
仁科
「ん? ……何か?」
杉坂
「いやあ、なんでもないっす」
仁科
「じゃあ着替え……じゃなくて変身してくるね」
仁科
「おまたせ。ど、どうかな?」
杉坂
「ブ、ブラヴォーーーーッ! りえちゃん最高!」
仁科
「自分じゃよくわからないけど、衣装以外も変わってる?」
杉坂
「変わってるよ。変わっても可愛すぎだよ」
仁科
「あ、ありがと」
杉坂
「それじゃ、風子ちゃんが気づいたら作戦開始ね」
仁科
「具体的に何をすればいいの?」
杉坂
「りえちゃんは私とおんなじこと言ってたらいいから」
仁科
「何か良からぬことを考えてるでしょ。気が進まないなぁ」
杉坂
「そう言わずに、ねっ。ほら風子ちゃん気づいちゃうっ」
仁科
「しょうがないな~。あんまり変なこと言わないでね」
杉坂
「了解了解」
風子
「……はっ」
杉坂
「あ、気がついたっ。じゃ、話合わせてっ」
仁科
「う、うん」
風子
「ええと、なんの話をしてたんでしたっけ……あれ?」
杉坂
「……コホン」
仁科
「……」
風子
「仁科さんと杉坂さんは、どうしたんでしょうか」
杉坂
「私が杉坂です。顔が変わりました」
仁科
「……わ、私が仁科です。顔が変わりました」
風子
「えっ……。ちょっと待ってください……。もう一度訊きます……。仁科さんと杉坂さんは、どうしたんでしょうか?」
杉坂
「だからぁ、私が杉坂です。顔が変わりました」
仁科
「……えと、私が仁科です。顔が変わりました」
風子
「わーっ! 仁科さんと杉坂さんっ、本当に顔が変わってますっ! それに服もぜんぜん違いますっ! 一体どうしたんですかっ」
杉坂
「たまに脱皮するのよ」
仁科
「えええっ!? ……じゃなくて、たまに脱皮するんです……」
風子
「まっ、待ってくださいっ! それはあまりに衝撃的な告白ですっ。おふたりは……そのっ、脱皮するんですかっ」
杉坂
「とりあえずね」
仁科
(変なこと言わないで、って言ったのに……) とりあえず」
風子
「とりあえずって、そんな適当にしてしまうんですかっ! ああ、そんな人がいるなんて、風子知らなかったですっ」
仁科
(私も知らないよ……)
杉坂
(しっ)
風子
「それとも、風子が知らなかっただけでしょうかっ。人間の中にはそうして脱皮する人もいるんですかっ」
杉坂
「とりあえずね」
仁科
「……とりあえず」
風子
「いるんですかっ! 風子は脱皮しないですっ。ていうか、したくないですっ、かなり不気味ですっ」
仁科
(なんかすごい誤解されてるんだけど……)
杉坂
(しっ。まかせといてっ)
風子
「はぁっ……風子、とても混乱していますっ! 常識が覆されましたっ。これは悪い夢ではないでしょうか。現実ですか」
杉坂
「とりあえずね」
仁科
「…………とりあえず」
風子
「とりあえず現実なんですかっ。よくわからないですがショックですっ ( >ヮ<)」
杉坂
「今よ、りえちゃん! チェンジコミックモード、スイッチオン!」
仁科
「すいっち?」
杉坂
「早く!」
仁科
「ちぇ、ちぇんじこみっくもーど、すいっちおん」
杉坂
「よっしゃ、オフィシャルコミック版に元通り」
仁科
「そうなの? よくわからないけど」
風子
「ショックですが、新しい仁科さんと杉坂さんを受け入れなければいけません……」
杉坂
「ふぅ……」
風子
「って、また脱皮してますっ! というか、皮をかぶり直してますっ」
杉坂
「何言ってんの、風子ちゃん」
風子
「仁科さんと杉坂さん、さっきまで違う顔でした。ひらひらがいっぱいある服を着ていました。それは、脱皮したからなのだと言いました」
杉坂
「はぁ? 人が脱皮するわけないでしょ。スニゲーターじゃないんだから」
仁科
「スニゲーター?」
風子
「え……。あ……」
杉坂
「どうしたの?」
風子
「いえ……ちょっと安心しました……。やっぱり悪い夢でしたか……。風子、嫌な汗をかいてしまいました」

『話している相手がすり替わる』を極めた!

杉坂
「……と、こうなるわけよ」
仁科
「むちゃくちゃだね」
風子
「最悪です」
杉坂
「なーんで? おもしろいじゃない」
仁科
「顔が変わる時点で人じゃないと思うよ」
風子
「それに風子、こんな鈍感じゃないです。むしろCM前に犯人がわかります」
杉坂
「すぐにトリップしてぼーっとしてるでしょっ」
風子
「風子、ぼーっとしてないです。どちらかと言うとしゃきっとしてます」
仁科
「まぁまぁ、ふたりとも落ち着いて」
杉坂
「でもさ~、ふたつの顔を持つ女ってなんかカッコよくない?」
仁科
「裏がある人みたいで印象よくないよ」
風子
「ジャンクマンみたいでかなり不気味ですっ」
杉坂
「ひどい言われようだね」
風子
「はい! 風子いいこと思いつきました!」
杉坂
「おっ、会議らしくなってきたね。はい、伊吹くん!」
風子
「顔がみっつあればアシュラマンみたいでかっこいいと思いますっ!」
杉坂
「どこがじゃ! ふたつより不気味でしょ!」
仁科
「どれだけ話し合っても、第5回の背景だけで出番終わりだったら意味ないよ」
杉坂
「最後にいきなり不吉なこと言わないでくれる?」