もうひとつの世界「杏編」

2009年7月1日発売、DVD8巻収録。ストーリーを追いながら感想や予想などを箇条書きにしています。登場人物、使用曲、攻略チャートもデータとしてまとめました。

予告
  • いきなりAna(full ver.)! って智代編と同じっすね。
  • さらにいきなりの告白、藤林椋。本編で椋の恋心はある程度想像できるので、はしょっても問題なさそうに見えるが……。
  • 杏の表情が全体的に暗い。原作では無理して明るく振る舞っていたが……。
  • 基本的に藤林姉妹シナリオは、CLANNAD全シナリオ中、最もヘタレで優柔不断な朋也が姉妹の間で右往左往する話です。姉妹ドロドロ愛憎劇なら、ねーちんこと佐々井夕奈(銀色)くらいのインパクトが欲しいぜ。この裏切り者っ!
4月26日(土)
  • なぜか雨が降ってるけど、冬服だし、原作通りの日付で藤林姉妹編スタート!
  • 「私……岡崎くんのこと、好きですっ。私と付き合ってくださいっ」
    いきなりの告白、藤林椋。原作より勢いのあるノンストップ大胆カミングアウトだぁ! しかし、告白シーンが教室だと雰囲気出ないな。わざわざ雨まで降らせて雰囲気暗くしてるし。
  • 「それでも良かったら、付き合ってみるか」
    椋の告白から導入するのはいいが、杏の「あんたと椋をくっつけちゃおう大作戦」に触れられていないため、朋也の外道っぷりがさらにアップ。
  • 嬉しくて涙が止まらない椋。この椋の泣き顔はオープニングとリンクしてるね。
  • 広辞苑が地面をえぐるのはカット。つーか杏、めっちゃヘコんでます。なんかあからさまに暗くしようという魂胆が感じられる。
  • そしてオープニング。この話にはまったく合ってないな。
5月16日(金)
  • ふたりで下校する朋也と椋。恋人として付き合い始めてからの回想が流れつつ、椋の進路に関する話題。
  • 椋の頭に手を載せる。朋也の愛情表現です。
  • 自分を必要としてくれる人がいる……。朋也にとって、椋の隣にいることが少しずつ自然になっていった。
5月18日(日)
  • 椋との回想が多数あるので、原作よりも余分に月日を経たせてみた。本編では風子が消えた日です。創立者祭が日曜だから日付を合わせにくいな。
  • 町をぶらつく朋也が、心ここにあらずな杏を見かけて声をかける。なんでこんなにヘコましてんだよ……。杏らしくないっつーか、いくらなんでもあからさますぎる。空元気で自分から声をかけるくらいやってほしいんだが。
  • 「日曜なのに何やってんのよ……。ちゃんと椋といてあげなきゃダメでしょ」
    うむ、日曜だ。
  • 「そうよね……ごめん……」
    余計なお世話だ、と切り返すも、覇気のない返答に拍子抜けする朋也。ここでしおらしさが出てるんだから、さっきあんなにヘコまさなくてもいいだろ。
  • その後も、杏の様子がいつも(本編)とまるで違う。そのギャップを狙ったのだろうけど、やっぱりあからさまに感じる。ギャップ萌えはたまに出すからいいのであって、ずっとしおらしかったら逆に不気味だ。
  • 悪名高きキスの練習。原作のような葛藤も躊躇もほとんどなく、杏とキスしようとする朋也。ある意味男らしいが、女の敵であることだけは確かである。
  • そういえば、本来この場にいるはずのボタンがいないし、場所も願いが叶う場所ではなくただの公園になっている。ボタンのエピソードは触れてほしかったなー。
5月19日(月)
  • 次の日、学校は噂で持ち切りだった。朋也と杏が付き合っているんじゃないか、と。おまえら……進学校の生徒なら他人の惚れた腫れたなんてくだらないことにかまけてないで、勉学に励まんかっ!
  • 春原登場。面白そうなことに首を突っ込まずにはいられない男なのだ。
  • 「ま、最近変だとは思ってたんだ。なんか妙に楽しそうだし」
    これは椋と一緒にいることが楽しくなってきてるんだよ……。俺たちの恋人生活はまだこれからだ!だった椋打ち切りエンドで、せめて椋にタンザナイトを渡すシーンくらいは欲しかったぜ。
  • 「だっておまえら、全然タイプ違うじゃん。杏のほうなら納得いくけど……」
    春原は渚の場合も「おまえがあんな地味な女を気に入るとも考えにくかったからな」と発言してます。実際はその時すでに気に入りまくりですが。タイプや相性ほどあてにならないものはない。
  • そこに、明らかに無理している笑顔で登場し、朋也とは目も合わせずに春原をかっさらっていく杏。呆然とする朋也の目に映ったのは、春原の食べかけのメロンパンだった……。
  • それをゴミ箱にポイする朋也。なんで僕のメロンパン捨てちゃうんですかねぇ! 今回、唯一の爆笑ポイントだ。ともあれ、食べ物を粗末にするな!
  • 「ねぇ……わかりやすい証拠、見せたげようか?」
    椋との会話を適当に打ち切って校舎の外へ出た朋也が目撃したのは、春原にキスを迫る杏の姿だった。
  • 「間違ってたら謝るけどさ……杏って、岡崎が好きなんじゃないの?」
    杏を制止して、優しい眼差しで言う春原。おまえ、むちゃくちゃイケメンだよ……略してムチャメンだよ……。
  • 朋也の姿に気づくふたり。気まずい沈黙……。
  • 「あいつ、自分とおまえの噂を消したくて、僕と付き合おうとしたんだよ」
    「心が安まるのと心が痛むの、どっちが『好き』って気持ちのもたらした感情なんだろうね」という春原らしからぬ……つーか「誰だおまえ!」なセリフがカットされたので、普通にいい感じな春原です。恋愛経験は豊富なのかも。芽衣ちゃんが言うには彼女ができてもぜんぜん長続きしないらしいけど。
5月20日(火)
  • 空元気で春原に迫った理由をでっち上げる杏。それを聞いた朋也は思わず声を荒げてしまう。
  • 気まずい空気を振り切って立ち去る杏。朋也の視線の先には、椋の姿があった。あー暗いね。
5月25日(日)
  • 日曜。朋也は椋とデート。
  • このクレープ屋は智代編で朋也と智代が別れを迎えた時の店じゃないか? この店でクレープを一緒に食べたカップルは破局するとか、嫌な噂が流れそうだ。
  • 「朋也くん」と名前で呼ぶ椋。自分のことも「椋」と呼んでほしいと願う。呼び方を変えることで、何かが変わるかもしれない……そんな期待があった。
  • 椋と別れ、降り出した雨の中を走る朋也の前を、丸い物体が横切る。ボタンだった。
  • ボタンを追っていくと、そこにはずぶ濡れの杏の姿が……。なんでこんなところに突っ立ってるか、って? そんなことはこっちが聞きたい。
  • 藤の花が咲いている。藤の花言葉は「歓迎」、「恋に酔う」、「陶酔」。嫌な感じに当てはまります。
  • 「来ないで……」
    弱々しい拒絶。
  • 「あんたと椋をくっつけちゃおう大作戦」がカットされたせいで設定が根底から変わっているため、打算を……恋の醜さをぶちまけるセリフが完全カット。この後、椋は醜さをぶちまけるので、なんだか偽善的に感じてしまうぜ。「卑怯者っ!」とねーちんに罵られそう。
    「あたしはね……すごくズルいのっ……」
    「あんたと椋をくっつけようとしながら……口では椋に頑張れって言っときながらっ……本当はうまくいってほしくないって……! フラれてくれたらいいのにってっ……! 心の中じゃそんなこと考えてたのッ!」
    ……違う……。本当にズルいのは誰だ……。
    俺は、椋を……あの子を通して誰を見ていた……。
    「あたし……自分が嫌いっ!」
    「世話を焼いてるふりをして、自分のことしか考えてない……。自分が傷つきたくないくせに、人が傷つくことを望んで……そんな自分が嫌いなのっ!」
    ただ流されるままに時間を過ごして……
    気づいていたはずなのに、見えないふりをしながら傷つけ続けていたのは……一番卑怯だったのは……
  • 「朋也……あたしは……藤林杏なの。椋じゃ、ない……」
    抱きしめる朋也を振り切って、「ばいばい……」と別れの言葉を告げる杏。このまま"向こうの世界"に旅立ってしまいそうだ。
  • 「おまえならどうする?」
    「僕がおまえの状況だったらか?」
    「そりゃ決まってるでしょう。ふたりともゲット!」
    「動かなくなるまで殴っていいか?」
    「すみません、冗談です」
    今回、まともなギャグ部分はここだけです。杏関連がことごとくカットされてるからなぁ。杏エピローグくらいはギャグ部分を入れてほしかった。
  • 「ん……ま、正直めんどくさいよねぇ」
    「……こんなことならいっそ……」
    「うん、そうだね。ふたりとも距離を置こうなんて考えてたら、最高にヘタレだよね」
    「──っ……」
    「おまえさ、自分が綺麗なままでいたいって思ってない? ここまで来たらさ、おまえどのみち、どっちかを傷つけることになるんだよ。答え出すのが遅くなるほど、傷が深くなると思うよ。三人の、誰にとってもさ……」
    「……ああ」
    「ちなみにさぁ……もうひとつだけ言ってもいいかな」
    「……うん?」
    「あんたの悩みは贅沢なんだよぉっ!」
    ムチャメンで綺麗な春原です。ここはそこそこ原作通りで、春原にしてはちょっと気持ち悪い(失礼)。
  • 放課後の教室。ふたりきりの朋也と椋。朋也、別れの決断。
  • 「私……ずっと思っていたんです。お姉ちゃんに負けたくないって……」
    「私……知ってたんです。お姉ちゃんが、ずっと誰を見てたのか……」
    「わかってたのに、お姉ちゃんに相談しました。朋也くんと仲良くなりたいって」
    「お姉ちゃん、びっくりしてたけど、すぐ笑ってくれました」
    「任せなさい、って……。そう言ってくれるってわかってて、自分が卑怯だってこともわかってて……。それでも……それでも、朋也くんのそばにいたかったんです」
    「私じゃ、お姉ちゃんの代わりになれませんかっ?」
    藤林椋、恋の打算を吐露。恋なんてものは大抵打算があったり見返りを求めたりするものですが、そういう醜い部分もひっくるめて「一緒にいたい」と思えることが……って自分で言ってて痒くなってきた。
  • さて、椋の一途な思いですが、原作でこのシナリオ後に勝平シナリオを見た場合、それを「もうひとつの世界」と割り切れる人は気にならないでしょうが、気になる人は気になるかもしれない。せめて藤林姉妹シナリオの直後に勝平シナリオをするのだけは避けたほうがいいかも。
  • 別れ際のキス。自分への苛立ちから椅子を蹴る朋也。物に当たるんじゃねぇよ。
  • 次の日。現代国語の授業中。椋は欠席。現代国語辞典。杏編なのに辞典投擲が出ないなんて……。
  • 「帰んないの?」
    答えない朋也を置いて、黙って立ち去る春原。またしてもムチャメンだよ……なんか身体が痒くなってきた。
  • 「おまえと付き合っている間、本当に楽しかった……」
    隣に立っている気配を感じて語り出す朋也。
  • 「でもダメなんだ……」
    「俺、最低なことしたな……おまえといながら、違う奴のことを見てたんだ……」
    「そのことに気づいてからも……おまえの優しさに甘えて……」
    岡崎朋也、自分の醜さを吐露。原作ではこれまでに嫌なくらい葛藤や心情描写があったので多少は説得力があったけど、スーパーダイジェストでは説得力など皆無です。
  • 「俺が好きなのは……おまえの……姉なんだ……」
    このポイントも、なぜか場所が教室に変更されたため、なんか雰囲気出ないな。
  • 「朋也……」
    椋と思われた目の前の女の子は、髪をばっさり切った杏だった! 双子設定だとよくあるパターンです。でもさすがにカラーコンタクトは入れてないぜ。
  • 椋に背を押され、自分の気持ちを偽り続けていた杏は、朋也と……椋と向かい合った。こうして、坂の下で立ち止まっていた杏と朋也、そして椋は……長い、長い坂道を登り始める。
  • 「好きです」
    「ずっと……ずっと……好きでした」
    曇り空が一転、晴れ渡る青空に。コメンタリーで言うように、ここでの対比のための演出としてずっと曇らせてたんだろうけど、私的には残念ながらあまり感慨はなかった。
  • あじさいの咲く6月。夏服への衣替えの季節。
  • 「謝らないでください」
    「謝られて……それを許してしまうと……なんだかぜんぶ嘘みたいに思えてしまいます……」
    「私、あの時間を大切な思い出にしたいんです。楽しかったこと……つらかったこと……ぜんぶ。だから謝らないでください」
    「わかった、ありがとう」
    『ごめん』なんて後ろ向きな言葉じゃない、前を見据えた締めくくり。
    今、朋也と椋は、友達に戻った。
杏エピローグ
  • 朋也との約束を笑顔でキャンセルする杏。久しぶりに椋と買い物に行くらしい。姉妹仲が元通りになったというアニメオリジナルのフォロー。こいつはいい!
  • 髪を切った理由が完全カット。これじゃさっぱり意味不明だ。はぁ~さっぱりさっぱり。
    「髪、伸びたなぁ……と思ってな」
    「あー、髪……ねぇ」
    「長かったのにもったいなかったな」
    「ま、あんたの本音を聞くためだったし、いいんじゃない?」
    「本音ってなんだよ」
    「ん~? 椋を前にして自分の気持ちを曲げられずにいられるかってこと。……っていうか、髪短くしただけで椋と区別つかなくなるってのも考えものよねぇ」
  • 原作ではここで話題にあがる椋の彼氏の存在は清々しいまでに完全カット! ボクのこと……忘れてください……。
  • 「ねぇ、本当にあたしでよかったの?」
    「はぁ?」
    「やっぱり、椋と一緒のほうが居心地良かったって…思ってない?」
    「あのなぁ……怒るぞ?」
    「うん、怒って。そしたら、ちょっとは安心できるから」
    「それって屈折してないか」
    ファイアーエムブレム聖戦の系譜、ジャムカとブリギッドが恋仲になった場合の会話に似てる。ミデェールだったらもっとヘタレだ。またわかりにくいネタですまん。
  • 「……じゃぁ……もっとわかりやすく、ストレートに……」
    杏は背伸びして、唇を朋也の唇に寄せる。
  • 「長い髪が好き」を選んでいないので、杏が髪を伸ばすくだりはカット。上機嫌なボタンのお出迎えも完全カット。ボタンの扱いがぞんざいだな。
  • 「朋也……好きだからね」
    朋也の腕を掴むと、杏は一番の笑顔でそう告げる。
  • 「夏になるね……」
    「ああ……」
    夏か……。汐、渚と一緒に海へ行くというアニメオリジナルな約束は果たされることがなかったな……。
総括

そんなわけでDVD追加エピソード、藤林姉妹編でした。

CLANNADを締めるお話としては、かなり疑問の残るチョイスです。前期の智代編と逆のほうが良かったと思うよ。最終回の智代は「ひーとりに~、なーってーも~あるくーんだ~♪ 誰もいなーくなーって、それでーも♪」といった感じの不吉極まりない光景だったからな。

さて内容ですが……例によってスーパーダイジェストだ。描写不足で朋也のヘタレ度が原作よりアップ。杏が髪を切るのも「長い髪が好き」を選んでないからあまり意味がない。

あと気になったのは、椋の打算には触れたのに杏の打算はカットされたこと。本気ではなかったにしても、椋の打算について触れたのなら、杏の打算にも触れないとアンフェアな気がする。結果として椋だけが灰を被った印象。

春原のメロンパンを躊躇なく捨てたところと、杏エピローグは良かった。

りえちゃんに和んで……って今回はエンディングテーマがないっ。次回もなし!

これにてTVアニメCLANNAD……一巻の終わり!

杏編データ

登場人物
  • 岡崎朋也
  • 藤林杏
  • 藤林椋
  • 春原陽平
  • ボタン
  • 現国教師
  • 生徒たち
  • この町の住人たち
使用曲
  • 桜抒曲 「CLANNAD remix album -memento-」収録
  • 時を刻む唄 -TV Animation Ver.-
  • 胸元にライラックの花飾り(原曲:日々の遑) 「MABINOGI CLANNAD arrange album」収録
  • 町,時の流れ,人
  • 存在 -piano-
  • 東風 -piano-
  • 潮鳴り
  • 潮鳴り II
  • Ana(full ver.)
アニメCLANNAD ~AFTER STORY~杏編攻略チャート
日付 選択肢 備考
4月26日() 「それでも良かったら…」(藤林姉妹)
5月16日(金)
5月18日() 「練習をしてみる」(藤林姉妹)
5月19日(月) 「飛び出す」(藤林姉妹)
5月20日(火)
5月25日()
杏エピローグ 「杏の光」を手に入れた!